「映画の日」1本目は名古屋のシネマスコーレで『大地を受け継ぐ』を鑑賞。福島県の農家、樽川さんを大学生11名が訪れ、5台のカメラで震災後の現実を伝えるロングインタビュー作品でした。

80分の作品でありながら、70分以上は樽川さんのインタビュー。東京電力福島第一原発の事故から5年。原発事故で作物の出荷停止を余儀なくされた翌日にインタビューに答える樽川さんのお父さんが自殺。その後の東電との裁判を通しての争いや、放射能の基準値は下回り、検出されることもなくなった作物を出荷しても良いのか?という葛藤を抱えた農家としての想いを言葉と沈黙と涙で伝える映画です。


サプライズは上映後の井上淳一監督の舞台挨拶。急遽決まったというこの挨拶は、グッと来たな。脚本家の井上監督はこの話を“フィクションにする必要がない”として、大学生を連れて福島県の樽川さん宅へ。「一発撮りで、もし樽川さんが話せなくて、映画として成立しなくても、11人の大学生の心に引っ掻き傷をつけられたらそれでいい。そのために映画をつくった」(⬅僕はここに一番、グッときたのです)


樽川さんは、その境遇と東電との裁判の中でメディアに出ることも多かったそうです。ただし、70分もの話を伝える手段は映画しかない。 TVでは数分。新聞でも数十行。決して、興行的には成功しないであろう映画の素晴らしさ感じてきました。

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