先日、開講した「白川魅力発見塾」の講座の一環で、今回は、自動車産業で有名な愛知県豊田市の紅葉で有名な“香嵐渓”のある足助の豊田市足助支所内にある『おいでん・さんそんセンター』に視察研修に行ってきました。
愛知県豊田市は言わずと知れた日本の自動車産業の中枢都市。2005年に旧豊田市(人口37万人)と周辺の5町村(人口4万5千人)が合併して、面積は約2.5倍。山林面積68%の財政的に豊かな旧豊田市と過疎化が急速に進む山村が共存する日本の縮図のような豊田市が誕生しました。
豊田市足助地区は、東海地域で一番有名な紅葉スポットだと言い切れる“香嵐渓”があり、伊那街道の中継拠点として栄えた町並みが現存するまち。しかし、足助地区を含めた豊田市の山間部の過疎の進行は合併後も止まることもなく、合併前の10年間よりも合併後の10年間の減少率が激しいということで、当時豊田市役所の職員だった現おいでん・さんそんセンター長の鈴木さんの提案で始まったのが今回の視察先の「おいでん・さんそんセンター」
(余談ですが、今回の研修にあたり、豊田に行くのは知っていたけれども、何をしに行くのかを知ったのは実は着いてからwまあ、聞けばいいんですけど。ミステリーツアーみたいな感じでした。)
さて、今回は活動を見学するとかではなく、センター長の鈴木さんに3時間話を聞く!という視察でしたが、素敵なお話だったので、ざっくりまとめたいと思います。
・豊田市は2000年9月の「東海豪雨」で堤防決壊の大災害寸前ギリギリのところだった。
→山林の荒廃が洪水を悪化させる
→都市と山村はひとつの共同体
→山を守る活動を開始
→東海豪雨から5年後の2005年に合併
→山村振興いろいろしたけれども人口減少とまらなかった!
・豊田市は「暮らし満足都市」を掲げ、都市部と山村部の強みを生かした暮らしが選択できるまちを目指した!
・そこで誕生したのが、鈴木さんがセンター長を務める「おいでん・さんそんセンター」(“おいでん”とは、いらっしゃいという意味の方言)
→ 「田舎とまちの人・地域・団体が“つながる”プラットホーム」
→取り組み内容
①田舎とまちの交流コーディネート
②田舎への移住・定住総合窓口
③ 「支え合い社会」の研究・実践
・おいでんさんそんセンターの素敵なポイント
→市役所が口を出さない(予算を提供して法令に関する監視はするが口を出すことはほとんどない)
→選任のスタッフはいるが、活動はプロボノ(専門的な知識を持ちながら仕事ではなくボランティアの活動として参加している)人たちによって行われている。
・具体的な活動例(マッチング事業)
→ジオコスとセンターが連携して農業を通じた社員研修→耕作放棄地を活用した企業の社員研修。農地の管理をすべて任せる講義(2015年~)
→トヨタ生協×センターのCSRを兼ねた農業体験ツアー(2013年~)
→東大×名大×トヨタ自の小型EVを活用した高齢者の移動手段としての社会実験
→就職ではなく起業を目的としたミライの職業訓練校
→定年退職して時間をもてあましている人たちなどにボランティアで草刈りなどをしてもらう集落応援隊
etc.
中略
お話の中で気になったポイントを独断でピックアップ
・豊田市は旧町村で独自の「地域会議」というものを設置
→議会のようなもの。その地域のことはその地域で決める
→各予算は2500万円
→最終決定は市議会で決める
(こういう会議は面倒かもしれないけれども、あるのがいいね。しかも独自の予算付)
・公共交通としての地域バスのやり方も地区ごとに決める
→スクールバスを使ったり、ワゴン車を使ったり
・空き家に入居する人の人選は受け入れる地域の人が決める
→いい人が来るか、それとも…の責任重大!
→大概、子育て世代が受け入れられ、定年後の人は落とされる
→かつて、誰でも受け入れてきた時代があり、大きな問題になった
→その反省を生かして、入居する人は自治会長など数人との面談によって決める
(どういう人が来るのかが事前にわかって、しかも判断は自分たちでできる。ここの腹のくくり方がミソ)
・豊田市の中心地まで足助から車で40分程度なのでトヨタ自動車の社員の人も移住が可能
【中小企業の後継者問題】
→中日新聞の新聞販売店は基本世襲制だが、後継者がいない!
→そこで!名大工学部卒のIターンの若者に任せた
→いまでは、移住者の最初の仕事としての受け例先に!
→35人が月収9万円程度で働いている。農業×新聞配達なども十分に可能!
→高齢者、主婦、障害者も受け入れている
(田舎、都会限らず事業の後継者の問題は喫緊の課題だと思う。このポイントで移住のポテンシャルは高そう)
・木の駅プロジェクト
→黒字になったのでLLPとして法人化
・「あすけあいプロジェクト」
→運転できる人は運転手として登録
→高齢者がタブレットを使って依頼
→地域の人は地域で支え合う社会実験
※将来的には自動運転で公共交通
(個人的には小型EVの自動運転は早く実現して欲しいなあと思っています。小型に限らず。)
・空き家バンクに登録して、入居が決まると100万円の補助金が出る
→100万円をもらうには、バンクに登録して、地域の人たちのGOが必要
・実際は空き家を貸さない人の方が圧倒的に多いのが現状
→そこで昨年10月からはじめたのが「空き家にあかりをプロジェクト」
→キャッチコピーは“隣の家に 明かりが灯った 何年ぶりだろう”
→1年間を通じての大々的な空き家活用の機運プロジェクト
→貸したくない人の意識を変えるプロジェクト
→ただし、強制はしない。変わりたいところを徹底的に応援する
→受け入れが進む地域はリーダーが違う。リーダーの考え方で地域が変わる
おいでんセンターは一般社団法人に4月から変更
→いままでは市役所の機関だったのが、市からの委託を受けての独自組織に変身!
→うまくいく地域を徹底的に応援して成功事例をつくってきた
→そのため、他の地区との問題もなかったわけではないが
→今後は一社になるので、ますます、頑張る地域を応援しやすくなる!
※とも、かくにも、いままで通りやってもらちがあかない
→いままで、ずーっとやってきてのこの結果!
→バンバンやっていくことが大切!
メモのメモみたいな感じになってしまったw
以下、鈴木さんの話のまとめです。
1.移住者の受け入れで地域の持続は可能
→1000人あたり年2世帯の子育て世代が移住すれば地域は維持できる
2.仕事がなくても空き家があれば移住者は来る
→仕事は志ある移住者が考える
3.移住者がUターンを呼び込み地域の担い手となる
→田舎が面白そうだとUターン者が増える
4.地域活性化とは、つながり支え合う「真の自治」
→お金ではなく、安心できる暮らし
5.「山村を山村らしく磨き上げる」ということ
→都会まがいの田舎に魅力はない
6.真の地方創生は、都市と農村の支え合いから
最後に鈴木センター長が言われていたのが「おいでん・さんそんセンター」は、ミライの市役所の姿であって、将来は、必要なくなるのが理想だと言われたこと。
行政の役割は、将来ぐっとスマートになるはず。いまのような、利権や待っていればうえからお金が振ってくるような仕組みはいつか終わる。ではなく、地域内外の人たちで支えあう仕組みをつくって、生活していくことが求められるようになる。いつかくる、ミライの姿を、きょうの話で感じることができたのは個人的には大きかったな。
人口減少と少子高齢化で、高齢者どんどん増えて、子ども減って、財政的には逼迫して社会保障とか地方行政の財政的縮小はいずれ来る将来。いかに、行政のお金を当てにするのではなく、自分たちで必要なことを決めて、行動していけるかということ。早いか遅いかだもんでね。
いや、魅力発見塾の研修って、空き家対策と地域行政の今後を考えるものだったのかな?という、疑問は感じているのですがw面白かったので個人的には良かったですw
そして、改めて、今日わかったことは、
次回は2月末に、関市のブーメランの北村さんを講師にクオーレの里で合宿があります!
…宿題、宿題、宿題。。。
愛知県豊田市は言わずと知れた日本の自動車産業の中枢都市。2005年に旧豊田市(人口37万人)と周辺の5町村(人口4万5千人)が合併して、面積は約2.5倍。山林面積68%の財政的に豊かな旧豊田市と過疎化が急速に進む山村が共存する日本の縮図のような豊田市が誕生しました。
豊田市足助地区は、東海地域で一番有名な紅葉スポットだと言い切れる“香嵐渓”があり、伊那街道の中継拠点として栄えた町並みが現存するまち。しかし、足助地区を含めた豊田市の山間部の過疎の進行は合併後も止まることもなく、合併前の10年間よりも合併後の10年間の減少率が激しいということで、当時豊田市役所の職員だった現おいでん・さんそんセンター長の鈴木さんの提案で始まったのが今回の視察先の「おいでん・さんそんセンター」
(余談ですが、今回の研修にあたり、豊田に行くのは知っていたけれども、何をしに行くのかを知ったのは実は着いてからwまあ、聞けばいいんですけど。ミステリーツアーみたいな感じでした。)
さて、今回は活動を見学するとかではなく、センター長の鈴木さんに3時間話を聞く!という視察でしたが、素敵なお話だったので、ざっくりまとめたいと思います。
・豊田市は2000年9月の「東海豪雨」で堤防決壊の大災害寸前ギリギリのところだった。
→山林の荒廃が洪水を悪化させる
→都市と山村はひとつの共同体
→山を守る活動を開始
→東海豪雨から5年後の2005年に合併
→山村振興いろいろしたけれども人口減少とまらなかった!
・豊田市は「暮らし満足都市」を掲げ、都市部と山村部の強みを生かした暮らしが選択できるまちを目指した!
・そこで誕生したのが、鈴木さんがセンター長を務める「おいでん・さんそんセンター」(“おいでん”とは、いらっしゃいという意味の方言)
→ 「田舎とまちの人・地域・団体が“つながる”プラットホーム」
→取り組み内容
①田舎とまちの交流コーディネート
②田舎への移住・定住総合窓口
③ 「支え合い社会」の研究・実践
・おいでんさんそんセンターの素敵なポイント
→市役所が口を出さない(予算を提供して法令に関する監視はするが口を出すことはほとんどない)
→選任のスタッフはいるが、活動はプロボノ(専門的な知識を持ちながら仕事ではなくボランティアの活動として参加している)人たちによって行われている。
・具体的な活動例(マッチング事業)
→ジオコスとセンターが連携して農業を通じた社員研修→耕作放棄地を活用した企業の社員研修。農地の管理をすべて任せる講義(2015年~)
→トヨタ生協×センターのCSRを兼ねた農業体験ツアー(2013年~)
→東大×名大×トヨタ自の小型EVを活用した高齢者の移動手段としての社会実験
→就職ではなく起業を目的としたミライの職業訓練校
→定年退職して時間をもてあましている人たちなどにボランティアで草刈りなどをしてもらう集落応援隊
etc.
中略
お話の中で気になったポイントを独断でピックアップ
・豊田市は旧町村で独自の「地域会議」というものを設置
→議会のようなもの。その地域のことはその地域で決める
→各予算は2500万円
→最終決定は市議会で決める
(こういう会議は面倒かもしれないけれども、あるのがいいね。しかも独自の予算付)
・公共交通としての地域バスのやり方も地区ごとに決める
→スクールバスを使ったり、ワゴン車を使ったり
・空き家に入居する人の人選は受け入れる地域の人が決める
→いい人が来るか、それとも…の責任重大!
→大概、子育て世代が受け入れられ、定年後の人は落とされる
→かつて、誰でも受け入れてきた時代があり、大きな問題になった
→その反省を生かして、入居する人は自治会長など数人との面談によって決める
(どういう人が来るのかが事前にわかって、しかも判断は自分たちでできる。ここの腹のくくり方がミソ)
・豊田市の中心地まで足助から車で40分程度なのでトヨタ自動車の社員の人も移住が可能
【中小企業の後継者問題】
→中日新聞の新聞販売店は基本世襲制だが、後継者がいない!
→そこで!名大工学部卒のIターンの若者に任せた
→いまでは、移住者の最初の仕事としての受け例先に!
→35人が月収9万円程度で働いている。農業×新聞配達なども十分に可能!
→高齢者、主婦、障害者も受け入れている
(田舎、都会限らず事業の後継者の問題は喫緊の課題だと思う。このポイントで移住のポテンシャルは高そう)
・木の駅プロジェクト
→黒字になったのでLLPとして法人化
・「あすけあいプロジェクト」
→運転できる人は運転手として登録
→高齢者がタブレットを使って依頼
→地域の人は地域で支え合う社会実験
※将来的には自動運転で公共交通
(個人的には小型EVの自動運転は早く実現して欲しいなあと思っています。小型に限らず。)
・空き家バンクに登録して、入居が決まると100万円の補助金が出る
→100万円をもらうには、バンクに登録して、地域の人たちのGOが必要
・実際は空き家を貸さない人の方が圧倒的に多いのが現状
→そこで昨年10月からはじめたのが「空き家にあかりをプロジェクト」
→キャッチコピーは“隣の家に 明かりが灯った 何年ぶりだろう”
→1年間を通じての大々的な空き家活用の機運プロジェクト
→貸したくない人の意識を変えるプロジェクト
→ただし、強制はしない。変わりたいところを徹底的に応援する
→受け入れが進む地域はリーダーが違う。リーダーの考え方で地域が変わる
おいでんセンターは一般社団法人に4月から変更
→いままでは市役所の機関だったのが、市からの委託を受けての独自組織に変身!
→うまくいく地域を徹底的に応援して成功事例をつくってきた
→そのため、他の地区との問題もなかったわけではないが
→今後は一社になるので、ますます、頑張る地域を応援しやすくなる!
※とも、かくにも、いままで通りやってもらちがあかない
→いままで、ずーっとやってきてのこの結果!
→バンバンやっていくことが大切!
メモのメモみたいな感じになってしまったw
以下、鈴木さんの話のまとめです。
1.移住者の受け入れで地域の持続は可能
→1000人あたり年2世帯の子育て世代が移住すれば地域は維持できる
2.仕事がなくても空き家があれば移住者は来る
→仕事は志ある移住者が考える
3.移住者がUターンを呼び込み地域の担い手となる
→田舎が面白そうだとUターン者が増える
4.地域活性化とは、つながり支え合う「真の自治」
→お金ではなく、安心できる暮らし
5.「山村を山村らしく磨き上げる」ということ
→都会まがいの田舎に魅力はない
6.真の地方創生は、都市と農村の支え合いから
最後に鈴木センター長が言われていたのが「おいでん・さんそんセンター」は、ミライの市役所の姿であって、将来は、必要なくなるのが理想だと言われたこと。
行政の役割は、将来ぐっとスマートになるはず。いまのような、利権や待っていればうえからお金が振ってくるような仕組みはいつか終わる。ではなく、地域内外の人たちで支えあう仕組みをつくって、生活していくことが求められるようになる。いつかくる、ミライの姿を、きょうの話で感じることができたのは個人的には大きかったな。
人口減少と少子高齢化で、高齢者どんどん増えて、子ども減って、財政的には逼迫して社会保障とか地方行政の財政的縮小はいずれ来る将来。いかに、行政のお金を当てにするのではなく、自分たちで必要なことを決めて、行動していけるかということ。早いか遅いかだもんでね。
いや、魅力発見塾の研修って、空き家対策と地域行政の今後を考えるものだったのかな?という、疑問は感じているのですがw面白かったので個人的には良かったですw
そして、改めて、今日わかったことは、
地域を消滅させないために必要なことは、
一時的なイベントでもなければ、特産品開発でもなければ、
企業誘致でも観光振興でもない。
志を持った人たちを受け入れ住居を提供して、
ともに地域で暮らしていくことなんだと。
かつての、山村の姿はきっと、こんな姿で、
それで、持続的な社会を運営してきたのだから、
ここで、何か特別なことをして、
観光振興や経済振興にお金を使うんじゃなくて、
閉鎖的になって自分たちの代で消滅させる選択ではなく、
開放的になって、どんどん外の風を受け入れていくのが良いのだと思う。
ちなみに、おためし移住ではなく、シェアハウスと農家民泊の方が。
移住促進には効果的というお話でした。
うん。まとまったような、ないような。
かつての、山村の姿はきっと、こんな姿で、
それで、持続的な社会を運営してきたのだから、
ここで、何か特別なことをして、
観光振興や経済振興にお金を使うんじゃなくて、
閉鎖的になって自分たちの代で消滅させる選択ではなく、
開放的になって、どんどん外の風を受け入れていくのが良いのだと思う。
ちなみに、おためし移住ではなく、シェアハウスと農家民泊の方が。
移住促進には効果的というお話でした。
うん。まとまったような、ないような。
次回は2月末に、関市のブーメランの北村さんを講師にクオーレの里で合宿があります!
…宿題、宿題、宿題。。。