突然、川の方から叫び声が聞こえる。子どもが溺れている。あなたと友人は反射的に川に飛び込み、子どもを助ける。息をつくまもなく、別の子どもの叫び声がする。また、子どもを救う。すると、また別の子どもが、そして、また一人…。

ふと見ると、友人が川から上がって、どこかへ行こうとする。

「おい、どこに行くんだよ」

友人は答える。

「上流に行って、子どもたちを川に投げ込んているやつをとっちめてやる」

━公衆衛生に関するたとえ話━ P3より


『上流思考』〜「問題が起こる前」に解決する新しい問題解決の思考法〜ダン・ヒース著、櫻井裕子訳
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事故の多い交差点。事故を減らすために、どうしたら良いか?

ある警察官は「見えないところに隠れて違反車を捕まえる」

ある警察官は「制服を着て交差点に立っている」

前者は、目に見える成果をあげることができる。捕まえた人の数が成果となる。

後者は、目に見える成果は分かりにくい。けれど、事故はきっと減るだろう。

前者の方が、後者よりも評価されやすい。


すべての問題には、その上流がある。さらに、その上流がある。

上流思考は評価されにくい。

けれど、大きな成果をあげる。


病気をして病院で治療をするのが下流。病気にならないように日頃から健康に気をつけ、健康診断を受け、運動を継続するのが上流。

予防は、治療よりもお金がかからない。けれど、成果は分かりにくい。



コロナ対応で、病床数を確保するのは下流。人流を抑え、ワクチン接種を行き渡らせるのが上流。


歯が痛くもないのに、お金と時間をかけて、歯科検診をするのが上流。歯が痛くなって、歯科を受診するのが下流。

年に1、2回の歯科検診で、人生をより長く自分の歯で楽しめる。

このあたりは、だいぶ「上流思考」が広まってきている気がする。






アメリカでの事例を多数用いながら、“なるほどなぁ〜”と思うことが満載。ちょっと、応用すれば、身近でも、上流思考は使える。問題が起きたとき、起きそうなときに「対応」「対応」「対応」ではなく、先回りして「対策」をする。それが、外れることもある。成果が見えにくいこともある。けれど、やる意味はある。

問題の根源はどこにあるのか、「根本原因」にアプローチして、最大効率×最大効果の問題解決術が詰まってます!