著者の佐藤正久さんは「ヒゲの隊長」の愛称で自衛隊のイラク派遣の初代隊長をつとめ、参議院議員として活動している国防の専門家である。そんな、佐藤さんによる日本が置かれている現実を記した一冊。『知らないと後悔する 日本が侵攻される日』

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日本周辺の地図を逆さにしたとき普段とは見え方が異なる。国防上、この地図の見かたが日本の安全保障を考えるうえで重要なのだ。

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中国やロシアが太平洋に出るときに邪魔になるのが日本。北海道より北側は海が凍る。そのため、ロシアが太平洋に出るためには北方領土周辺の海を抑えなければいけない。反対に、北方領土が日本の支配下にあれば米軍の潜水艦が北方領土周辺まで来てしまう。それは、ロシアにとっては絶対に避けたい。だから、北方領土はずっーと返ってこなかったし、これからも簡単には返ってこない。

中国が海洋進出する際に、蓋になっているのが日本列島だ。そして、台湾。中国は台湾を実効支配して自分のものにしたいと思っている。その際は“尖閣諸島”だって一緒に奪いに来る。なんなら、宮古八重山諸島や沖縄本島だってあるにこしたことはない。

「尖閣諸島」は無人島。アメリカは自国で守ろうとしないものを支援しない。だから、もし、中国が尖閣諸島を奪いに来たら、自衛隊が自力でなんとかしないといけない。

“この平和の時代にそんなこと…”と思うけれど、ロシアはウクライナと戦争をしているし、そのロシアは“日本から一番近い隣国”なのだ。加えて、中国は南シナ海にあるフィリピンの島(岩)を奪い、埋めてて、滑走路をつくった。最近の中国の活動をみていれば「台湾」は“オレのもの”だし、尖閣諸島、沖縄諸島だって中国のものになる可能性は十分にある。だから、備えて置かなければいけない。

日本の憲法だけではどうしようもない。日米同盟があっても日本に自国を守る意志がなければアメリカは動いてくれない(アメリカの世論を味方につけなければ民主国家は動けない)し、いつまでも強固な日米同盟とは限らない(永久にとは約束していない)。

ウクライナは自力で粘って耐えているからこそ、世界から応援されている。一方のアフガニスタンは、自国では耐えれなかったからタリバンに再び支配されている。だからそこ、日本はまずは自力で自国を守らなければいけないと。

台湾に中国が攻めれば、日本にとって重要な海上交通路である「シーレーン」が封鎖される。実際に海なので壁などないが、海底から潜水艦で船が攻撃されるようなら、誰も日本に船で近づかなくなる。そうなれば、エネルギーも食料も途絶える。さらに、尖閣諸島は日本の国土だ。ここを簡単に手放せば次は宮古八重山諸島にくる。


とはいえ、そんなことって、この平和の時代に…。戦後ずっと平和だったじゃないか…と。思うけれど、ただ、中国史を振り返れば“あの国には日本の常識は通用しない”し、ロシアはいまでもウクライナを侵略しているのだ。国連は中国とロシアが戦勝国として居座っている間は機能しない。そんな時代を僕たちは生きている。