昨年11月から、受講してきた“過疎地域人材育成事業”の通称『ぎふクエ』。先週、岐阜県庁での成果報告会を経て当初の行程を終了したのですが、今回は追加の特別編ということで、愛知県豊田市の中間支援センターの「おいでん・さんそんセンター」と、この4月にオープンする地域の“たまり場”「しきしまの家」に視察に行ってきました!

今回は「ぎふクエ」受講者は6名と、「岐阜県庁」の若手職員他の皆さんで計15名での視察です。

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紅葉で有名な「香嵐渓」の入口にある足助支所の2階においでん・さんそんセンターがあります。

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今回は一昨年からセンター長をされている田中さんからお話を伺いました。

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「おいでん・さんそんセンター」がある豊田市は、言わずと知れた世界の「トヨタ自動車」とその関連会社が立地する地域で人口は41万人。平成の大合併で旧豊田市と周辺の町村が合併して面積は3倍となり、愛知県の面積の18%に。一方で、人口の95%は旧豊田市の都市部に集中して、山村部に暮らす人はわずか5%。

合併の際、山村部はその効果に期待したものの、結果的には、“役場がなんでもやってくれた”ところから、最低限のことしかできなくなり、とても不便になった。加えて、過疎化は留まることなく加速していった。そんな状況の中で、“都市と農村をつなげる役割”として、2013年に開設されたのが「おいでん・さんそんセンター」。

センターは今年の夏で開設10年の節目を迎える。「都市と農村をつなげる」という目的のもと、数多くの「都市と農村のコーディネート」、「移住相談窓口」、「山村の情報発信」、「支え合い社会の研究」の他「すげの里」という施設の管理をしている。

運営は、当初は豊田市の直結だったのが、現在では一般社団法人となり民間組織。運営費は年3000〜4000万円で、職員は10名ほど。

センターのこれまでの成果として、都市(住民・企業)と山村地域のつながりの支援、空き家活用支援、山村のハブ拠点の支援、山村情報発信ということでした。特に、最近は「関係人口」の拡大にチカラを入れているということ。一方で10年経って、新たな課題もと。単発の繋がりではなく、継続的にできる繋がりをどうやってつくっていくのかなどの課題もみえてきました。

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続きて、お昼からは、前おいでん・さんそんセンターの代表理事もされて、現在は豊田市の旭地区の「敷島」という地域で活動されている鈴木さんからお話を伺いました。

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こちらは、センターがある豊田市の足助から、さらに山を登った旭地区。合併以前は山村部で最も過疎が進んで財政的にも厳しかった地域。それでも、昨今はIターンの移住者が増え、Uターンの人もいて、「敷島」の人口は900人、300世帯、小学校の全校児童も少ないときで35人だったのが現在50人にまで増えてきた。

この敷島地区の特徴は「自治区」といえば、イベントをやったりするところだったのが、2010年に「しきしまときめきプラン」をはじめた。それは、公開討論会で地域のみんなに意見を出してもらって計画をたてて実行してきた。もとは、“緊急雇用助成金”で移住してもらって、当初は地域の人達は冷ややかに見ていたようですが、メディアが来るようになって「今後どうするか?」と聞かれたら、これからをみんなで考えることになったのが「しきしまときめきプラン」のはじまりのようです。それが、5年ごとに改定され、2020年に大きく変わったのが、“移住者が増えればいいわけじゃない”という視点から、人口減少と闘うのをやめて、現状を受け止めた上で具体的な「プロジェクト」を区長がリーダーとメンバーを指名して、やるようにしたようです。

かつての日本社会は「助け合い」の社会だったのが、この数十年で、お金でなんでも解決するようになった。そして、困っていても手を挙げられない社会となった。さらに「助ける人」「助けられる人」に分けてしまっている。一人ひとりが、役に立てることがあって、みんなで助けられるはず。地域の中学生以上の全員に「困ったいること」「助けること」をアンケートで聞いたところ、困りごとのは多くが自分たちで解決することができることがわかった。「困ってる人」と「助けられる人」のデータはあるので、これをマッチングしていきたい。そのために、有償ボランティアで取り組みをやり始めたい。そして「お年寄り」「草刈り」「たまり場」「町内会」の4つのグループの課題を解決するチームをつくった。今回は「たまり場」が地域に必要ということで、もともと保育園だった場所を「しきしまの家」という「たまり場」にするお話を伺いました。

「しきしまの家」のオープンは今年の4月。昨年の5月には「片付け」、8月には「DIY」、10月?には100人を集めて集合写真を撮る「内覧会」を開催。住民の皆さんからは施設への協賛金を集めて、クラウドファンディングでも外に向けて“関わりしろ”をつくって活動を進めてこられました。

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フツーは、たまり場が欲しいからって、「しきしまの家」なんてつくらない。大変だからね。けど、ここの区長さんが決断して進めている。それだけでもスゴイなと。そして、いよいよ「しきしまの家」が4月にオープンする。

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住民の願いからスタートして、地域の人達のチカラを集めて、他地域からの協力を得て、様々な人たちを巻き込みこんでやっていくのってやっぱ大事。あとは、できあがった“溜まり場”の「しきしまの家」がどう展開していくのかが注目です。

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