2023年7月19日に発表された第169回芥川賞作、市川沙央さんの『ハンチバック』をAudibleで聴きました!

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ハンチバック (文春e-book)
市川 沙央
2023-06-22


タイトルの『ハンチバック』とは、“脊椎上部が異様に湾曲しているため背中が丸くなっている人”のこと。市川さん自身が、ハンチバックで重度の障害者である。

冒頭から、これは“官能小説か!?”というようなR18文学が展開されていくが、この文章は主人公が書いているという設定だ。主人公も「ハンチバック」である。そんな主人公は「中絶がしたい」とTwitterに投稿しようとする。

“普通の女性”なら妊娠して出産できるが、ハンチバックの女性は妊娠は出来なくないが、出産には耐えきれない。中絶ならできる。そんなことをSNSに投稿しようものなら炎上まちがいなしだ。

他にも「生まれ変わったら高級娼婦になりたい」とも。

ふつうのひとが、ふつうにできることが、できない。そして、まわりのひとからどう見られているかも描かれている。iPhoneやEvernoteなどの記述が今っぽくでいい。文章量も多くないので、聴くのもあっという間だが、読むのもあっという間だな。

2023年の芥川賞はこれできたかと。