今井むつみさんの『「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか? 認知科学が教えるコミュニケーションの本質と解決策』を読みました!

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“話せばわかる”と言われがちだけど、そんなわけない。話しても伝わらないこともあるし、いつも同じことを繰り返していることもある。コミュニケーションが難しいなと思うことも多々。そんな人のための本。

そもそも、人間の認知能力なんて大した事ない。最新のスマホの方が何倍も正確に記憶ができる。人間の脳は、なんとなく記憶してそれをイメージで呼び起こしている。実際は「ことば」で記憶していることも多い。だから、記憶を思い出してもあやふやだったり不正確なのは日所茶飯事。事故や事件の目撃証言も、関係ない記憶や周りの意見に影響される。だから、目撃証言よりもドラレコが重要だったりする。

言葉は言葉でも「ねこ」で、イメージすることも違う。人によっては、「家の猫」で「ドラえもん」で「ハローキティ」で「野良猫」でかわいい猫もいれば、凶暴なやつもいる。「ねこ」だけでもイメージは人によって千差万別。

同じものを見たり、聞いたりしても、伝えても、意見も思考も全く同じものを共有することはできない。



気になったことをちょこっと抜粋してみます。

目に入ったことが全てに当てはまると思ってしまうことを「代表性バイアス」といって、たとえばイスラム教徒はテロリストで過激派だとニュースをみて思ってしまいがちだけと、そんなわけない。代表的な事例を全てに当てはめてしまうのを「過剰一般化」という。

すらすら流暢に話されると、それを信じてしまう。それを「流暢性バイアス」といって詐欺に応用されている。



速く走れることは、陸上だけではなく多くのスポーツの「基礎」。コミュニケーションは、営業とかそれだけではなくビジネスや日常生活の基礎。

テレビをみたりSNSをみていると一方的でわかりあえない場面に出くわすのです。思い込みにとらわれた生き方は実はラクな生き方でもあると。相手の意図を考える必要も、情報を精査することも、知識や教養を得ることも自分を見つめ直す必要もない。自分の認知のバイアスに埋没し、心地よいところだけで生きるのはラクな生きかでもあるようです。自分とも相容れない相手とも建設的なすり合わせをする。決してラクな道ではないけれども、けれども、ラクの道を選ばない人のための本でした。